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大胆に寄れる優等生的60マクロ「AF-S Micro NIKKOR 60mm f/2.8G ED」

58mm単焦点と60mmマクロ、散々迷って結局両方購入

今回は、以前大口径標準単焦点レンズ「AF-S NIKKOR 58mm f/1.4G」(以下「58mm f/1.4」)の購入時に比較対象として迷った60mmマクロレンズ(ニコン的には「マイクロレンズ」)の「AF-S Micro NIKKOR 60mm f/2.8G ED」(以下「60マクロ」)です。

58mm f/1.4の繊細な描写、そしてとろけるように滑らかなボケ味には満足していますが、寄れない点だけが残念。で、思いっきり寄れる60マクロを追加する事と相成りました。散々迷って、結局両方購入したわけですね。

レンズの見た目の印象は大きく異なります。58mm f/1.4の方は太めの鏡胴に奥まった大きな前玉。対する60マクロは細長いフォルムに小さな前玉。写りの方向性の違いが外観にも現れています。(詳しくは後述)

AF-S NIKKOR 58mm f/1.4G と AF-S Micro NIKKOR 60mm f/2.8G ED

AF-S Micro NIKKOR 60mm f/2.8G EDの前玉アップ

Nikon 1 用の18.5mm f/1.8も鏡胴に対する前玉サイズの比率は同じくらいだと思うのですが、
前玉周りの造型の違いのせいか、この60マクロの前玉の小ささはやけに目立ちます。

カメラ取付けて前から見ると、少々「おちょぼ口」な印象。。。
で、例によってナノクリレンズにもかかわらず、レンズ保護フィルタも装着しました。

AF-S Micro NIKKOR 60mm f/2.8G ED + D700フードなし

レンズフードを装着すれば、前玉の小ささはさほど目立たなくなるのでまあ良いかと。

AF-S Micro NIKKOR 60mm f/2.8G ED + D700フード付

ナノクリなのに金環なし。でもスッキリ上品な外観

さてこのレンズ、発売されたのは2008年3月。最新のレンズとは言えません。そのせいか、ナノクリなのに鏡胴先端に金環が付かない。最近のニッコールレンズはナノクリ使用のレンズにはもれなく金環が付いている印象ですが。

しかしそのおかげで逆にスッキリした印象の外観となっています。デザインの方向性としては最近のサードパーティー製のレンズのそれに近いような。58mm f/1.8の「濃いめ」なテイストも良いですが、こういうシンプルな美しさも良いですね。

距離計のあたりからフォーカスリングに向けて少しずつ太くなる造形ですが、微妙な段の付き方が上品な印象。細部まできちんと気を配ってデザインされた感じです。
プラスチック鏡胴ですが、しっとりとした半つや塗装のおかげで、安っぽい印象はありません。

レンズフードの造形は結構素っ気ない?

一方、レンズフードは結構素っ気ない印象。花形でもなく、フード後端のエッジが丸いのも何となく安っぽく感じてしまいます。なんというか、レンズフードだけ他のレンズ用のものを流用したかのような雰囲気です。もちろん実用性は問題ないのですが。

AF-S Micro NIKKOR 60mm f/2.8G ED + D700

フォーカスモードのスイッチとフォーカスリング(ピントリング)のみのシンプルな操作系。

AF-S Micro NIKKOR 60mm f/2.8G ED + D700

マクロレンズなので、距離計だけでなく、撮影倍率の表示もあります。

AF-S Micro NIKKOR 60mm f/2.8G EDの距離計

大胆に寄っても安心な優等生的万能型レンズ

オートフォーカスの合焦速度は評判通りかなり速く、感覚的には大三元の「AF-S NIKKOR 24-70mm f/2.8G ED」にも全く引けを取らない印象。
フォーカスリングは適度なトルク感と滑らかさがあり、MFもしやすいです。

最短撮影距離は0.185m。つまり18.5cm。
これはレンズ先端からの距離ではなく、イメージセンサー(撮像面)からの距離であるため、この60マクロなら鏡胴先端から4.5cmくらいまで寄れる計算になります。実際に使った感じではもうちょっと寄れるようで、レンズフード先端から1cm切るくらいまで寄れてしまいます。フォーカスリングを回してもレンズの長さは伸びないので、被写体に大胆に寄っても比較的安心です。

※下の撮影例写真はRAW撮影データをCapture NX2で歪み補正などをしています。
歪みはかなり少ないのですが一応補正を掛けています。

AF-S Micro NIKKOR 60mm f/2.8G ED撮影例花アップ

AF-S Micro NIKKOR 60mm f/2.8G ED撮影例花ロング

描写はマクロレンズらしくシャープですが、ボケ味は少々固めかな〜?という印象。まあこんなもんでしょう。
絞り開放では多少甘くなるので1〜2段程度絞って使えば、合焦点ではカリッとした描写、アウトフォーカス部分はトロッと溶けるボケ味が得られ、マクロレンズの醍醐味が味わえるかと。

60mmの画角はフルサイズ(FXフォーマット)のカメラなら標準単焦点としても使えるので、守備範囲はかなり広いですね。重量も425gと軽量な方で、写りも操作性も高いレベルでまとまっていると思います。優等生的なレンズという印象ですね。DXフォーマットのカメラでも90マクロとして使えますし。

ニコンのマクロレンズは、ちょっと分かりにくい「実効F値表示」

ニコンのマクロレンズは撮影距離によりF値の表示が変わります。
絞り優先モード(Aモード)でフォーカスリングを無限遠の状態にして絞りをF2.8開放にセットしても、最短撮影距離ではF4.8になります。

いわゆる「実効F値表示」というもので、ざっくり言うと「絞りの口径は同じでも拡大撮影するほどに光の量が減るからF値の数値も変動する」という事らしいです。とりあえずは「そういうもんだ」と理解しておけば実用上はそれほど問題ないかと思いますが、知らずに使うと焦るかもしれませんね。フォーカスリングの位置によっては絞りをF4.8までしか開けられないので。

58mm f/1.4単焦点レンズとの使い分けは?

58mm f/1.4単焦点はいわゆる「カリカリ」なレンズではないと思っています。もちろん絞り込めばシャープに写りますが、程よいシャープネスに、きめ細かくとろける上質なボケ味が最大の長所だと思っているので、やはり雰囲気の良い写真を撮りたいときは58mm f/1.4単焦点の出番かなと。

開放での絞りはF1.4と、60マクロのF2.8より2段明るい。つまり光の量は4倍多く取り込めるわけで夜景撮影にも良いかなと。「サジタルコマフレア」とか呼ばれる、画面周辺などの点光源が蝶のような形になる現象もかなり抑えられていますし。これからのイルミの季節には結構出番がありそうです。

全体に上手くまとまっていていろんなシーンで使いやすい60マクロに対し、使える範囲は狭めながらハマると味わい深い描写が得られる58mm f/1.4、ということで写りのキャラクター分けは比較的はっきりしているのではないでしょうか?冒頭で書いたように、それぞれのレンズの方向性の違いは形にも現れている、と思います。

と、いうわけで焦点距離の被る2本のレンズですが、上手に使い分けて行きたいところです。
実は50mm f/1.4もあるんですが、こちらはほぼお蔵入り状態です。。。

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