幻と消えたニコンDLの代わりにソニーRX100M5購入
最近売れているらしい1型(1インチ)センサー搭載のコンデジ(コンパクトデジタルカメラ)。
個人的にはNikon DL待ちでしたが、残念ながら今年(2017年)の2月に発売中止になってしまったので、ソニーのCyber-shot DSC-RX100M5を先日購入しました。
気軽に持ち運べて、スマホとは差の付く写真が撮影できる(状況次第ですが)1型コンデジは前からひとつ欲しいなと思っていたのですよね。
1型センサーのコンデジは他のメーカーからも出ているのですが、やはり代表格といえばソニーのRX100かな〜?ということで、最新型のM5を選択。下の写真のようにボディ表記は「RX100M5」ではなく「RX100 V」ですが、このブログでは「RX100M5」の呼称で統一しておきたいと思います。
それにしてもソニーのカメララインナップは独特で、RX100は初代から5代目の「M5」まで全て継続販売中。Nikon 1なら初代J1から現行型のJ5まで全て現役で販売しているような感じかと。
「365日、表現者であれ」
「365日、表現者であれ」とは幻のニコンDL(これも1型コンデジだった)のキャッチコピーですが、常に持ち歩けるカメラとしては1型センサーコンデジというのは丁度良い頃合いなのかなと思います。
私が普段使っているNikon 1 も「J5」になって写りは結構良くなりましたし、レンズも超広角から超望遠まで揃っているのですが、レンズ交換式なのでレンズが飛び出している分、携帯性ではやはり不利。
下の写真は、左がNikon 1 J5で右が今回購入のソニーRX100M5ですが、レンズ収納(沈胴)状態では、レンズの飛び出している量に結構大きな差があります。
Nikon 1 に装着している標準ズーム、10-30VR(PDの方)はかなり頑張って長さを抑えたようですが、やはりレンズをボディに収納できるコンデジに比べればまだ出っ張りが大きい。
なお、このブログ記事に登場するNikon 1 J5、RX100M5ともにストラップは社外品を取り付けています。カメラ付属品ではありませんので、あらかじめご了承ください。
シンプルなつるりとしたボディ外観
そんなこんなで入手したRX100M5。
ぱっと見は渋目というか、少々地味な印象です。
特に前側から見るとボタンも少なく、シンプルなつるりとした、半ツヤ黒塗りボディ。
そんな中で前面スピンドル加工、側面チェッカリング加工のコントロールリングがキラキラと光を反射して、この部分がデザインのポイントな印象です。
右下の「ZEISS」ロゴも黒地に紺色なので目立たない。
全体に文字も小さめで「SONY」のロゴが程良く目立ちます。ところどころにある「T*」の朱色(シナバーレッドと呼ぶべきか?)の文字が差し色として効いてます。
ま、地味ながら高級感はあります。
「ストイックな美しさ」とでも呼ぶべきものを持っているなと。
RX100シリーズは初代から5代目までぱっと見の形はほぼ変わらず来ているので、
市場でもこのデザインは支持されているのでしょう。
ただ、そのままではやはりつるつると持ちにくいので別売のアタッチメントグリップ「AG-R2」を取り付けています。(上の写真)
ミニマルな造形美を少し崩してしまいますが、しっかり握れることは写真撮影の基本ですので。。。
それにこのアタッチメントグリップ、一眼カメラ同様のシボ加工もしてあり、手触りも良いですよ。
あと、例によって非純正の革ストラップを別途購入して取り付けていますが、コンデジだということでハンドストラップとしております。結構しっかりめのストラップなのでその分少々嵩張るのは致し方ないところ。コンパクトさ重視ならカメラ付属のストラップがおすすめ。
やらずにいられないNikon 1 との比較
個人的にはこれまでお出かけ用の小型カメラとしてはNikon 1 J5(上の写真左)を使って来たので、どうしても比べてしまいます。
全体にRX100M5のボタン類や文字表示は小さめ(下の写真右側)。「カメラ屋」のニコンが作ったNikon 1 J5(下の写真左側)は、ボディが小さくてもボタンが比較的大きめで使いやすいのですが、ソニーの方はボタンなど、結構割り切って小さいものとなっているので、操作性では不利な気もします。
「まあ慣れればなんとかなるかな?」というレベルですが。その分洗練された印象ではあります。
面白いのはRX100M5の方は電源ボタンを押さなくてもファインダーをポップアップさせれば電源が入ったり、また電源オフの状態から背面の再生ボタンを押すとレンズを繰り出さずに撮影した画像を再生できるなどの操作ができる点。Nikon 1 J5だとまずは電源をオンにしないと一切の操作ができません。
シビアなズーミングはコントロールリングのカスタム設定で対応
ニコンのカメラだとシャッターのそばに付いているレバーは電源レバーなのですが、RX100の場合はズームレバー。電源ボタンはその左手前のボタン。さらにその後ろにストロボのポップアップレバー。
右手だけで電源ONからズーミング、シャッターのレリーズまでできるのでお手軽といえばお手軽。
でもシビアなズーミングは出来ません。
で、レンズ周りのリング(コントロールリング)をカスタム設定してズーム用にしました。
これでシャッターボタン側のズームレバーよりも焦点距離をシビアに合わせられます。
ただこのリング、前後幅が薄いせいか一眼カメラ的に左手を下から支える形では回しにくい。
結局左手は人差し指と親指でカメラをホールドして、中指1本でコントロールリングを回してます。
小さなボディに色々詰め込んでいるので、どうしても「ちまちました」操作感になるのはやむを得ないですね。
意外に使える電子ファインダー
上の方で少しだけ書きましたが、ファインダーは内蔵式でポップアップして使います。
それにしてもこのサイズで内蔵EVF(電子ビューファインダー)が格納されているのはすごいなと。
見た目は簡易型っぽいのですが、使ってみると意外に(失礼)しっかりしたEVFで十分使える印象。
ただしポップアップしたあと接眼部を引き出してやる必要があり、これが地味にめんどくさい。
コンパクトなボディを実現した代償ということで慣れる他なさそうですが。
きちんと引き出さずにファインダーを覗くと焦点が合いません。
倍率は約0.59倍とやや小さめですが、約235万ピクセルの画素数。背面液晶が約123万画素なのでほぼ倍ですね。光学ファインダーに比べると多少不自然さはありますが、実用上はまあ問題ないかなと思われます。
ただ視度調整がレバー式なので調整がシビアではあります。ダイヤル式だともう少し調整が楽なんだろうなと思いつつ、これもスペース的にやむを得ないのかなという感じ。
やはり搭載してほしいタッチパネル操作
背面モニターは先述の通り122.88万画素の3インチ。Nikon 1 J5同様にチルト可動型。
ネットの口コミサイトなど見ていると、タッチパネルがないことに対する不満の声が結構あるようですが、確かにフォーカスポイントをタッチパネルで選べたりできると手っ取り早くてラクだと思います。
Nikon 1 J5では背面モニターのタッチ操作が使えるので、撮影中の設定変更などにも結構便利ですし。
RX100M5もFnボタンから主要な設定項目を呼び出せるのでまあ良いんですが、やはりタッチパネルは搭載してほしいところではあります。
上の写真のモニターには別売のセミハードシート「PCK-LM15」を貼っています。
それにしてもストロボやらEVFやら背面モニターやら、まるで十徳ナイフのようにいろんなところが飛び出します。よくこれだけいろいろと詰め込んだもんだと。
個人的にソニーのカメラは初めてなのでUI(ユーザーインターフェイス)の違いで戸惑うことはありましたが、慣れてくれば特に難しいということもない。
というかソニーのUIの方が直感的にわかりやすいし、見た目にカッコ良い。
初代からブレない外観に、魅力的なUIなど、デザイン力の高さが印象的です。
少々面倒なスマホでのリモコン操作
ところでこのRX100M5、リモコンがない様子。
まあスマホでWiFi接続すればリモコン操作できるんですが。
スマホでリモコン操作するにはスマホに専用のアプリをインストールしておく必要があります。
で、使うときは
RX100M5の「スマートリモコン内蔵版」を起動して、
スマホのWi-Fi接続先を設定画面からRX100M5のものに切り替えて、
あらかじめインストールしておいたスマホのアプリを起動して準備完了。
…なんだかめんどいです。
スマホがAndroidだったらWiFi接続もNFCでワンタッチらしいんですが、私のスマホはiPhoneなので
毎回手動でWiFi接続してやらないといけない。
まあNikon 1 J5も似たような感じですが、違うのはカメラ側にもアプリが入っていて、これを起動して使う点。
Nikon 1 V1みたいに赤外線方式のリモコンが使えると手っ取り早いのですが。
WiFiでインターネットに接続してアプリをカメラにダウンロード
で、このRX100M5の「スマートリモコン内蔵版」ではバルブ撮影ができません。「バルブ撮影」というのはシャッターを押している間ずっとシャッターが開き続ける撮影方法で、花火撮影の時などは基本「バルブ撮影」で撮影します。
Nikon 1 J5もスマホからだとバルブ撮影ができないので同じなのか?と思ったら、デフォルトでインストールされている「スマートリモコン内蔵版」を「スマートリモコン」にアップデートすればバルブ撮影もできる様子。
アップデートするにはカメラをインターネットに接続してアップデート用のアプリをダウンロードしてインストールすれば良い、らしい。
RX100って、WiFiでインターネットに接続してアプリをダウンロードして来て使えるんですね。
ネットからカメラにアプリをダウンロードして来て使う日が来るとは想像してませんでした私。
ただしアプリをダウンロードするにはSony Entertainment Network のアカウントが必要。
でもMy Sony ID と共通化されたとのことなので、My Sony ID でのアクセスを試みましたが何度やっても失敗。
結局パソコンにRX100M5をUSB接続して、なんとかアプリをダウンロードできました。
まあ実際に花火の写真撮るならD750かD500を使うと思いますが、
いざとなればRX100M5でも撮れるぞ、ということで。
開放F値がf/1.8-2.8という明るいレンズ。でも少々物足りない
で、レンズの話。
このRX100M5の大きな特長のひとつが開放F値がf/1.8-2.8という明るいレンズ。
でも開放でf/1.8なのは24mm相当の広角端のみなんですよね。
少しズームアップすると開放F値もすぐ上昇。30mm相当でf/2.8となります。
よって焦点距離30mm相当付近〜70mm相当での絞り開放はf/2.8で固定です。
開放F値が変化するズームレンズの場合、広角端から望遠端に向かって少しずつ開放F値が上昇して行くのが当たり前だと思っていたので、このF値の変化は個人的には少々残念というか物足りない。
50mm相当付近では開放でf/2.2くらいかと思っていたのですが。
最短撮影距離も広角端以外ではいまいち寄れない。広角端は約5cmですが望遠端は約30cm。
それでも初代と比べると随分改善している様子ではあります。
つまりNikon 1 に18.5mm f/1.8レンズを装着した方(下の写真左側)が、50mm相当のいわゆる「標準レンズ」の画角では明るいし、寄れる(最短撮影距離20cm)ということになります。
そういうこともあってニコンはバナー広告とかでf/1.8単焦点レンズを推しているんでしょうけども、エントリー層の方々にこの良さを説明するのは結構ハードル高そうです。某若手人気女優さんを起用した「ぼかして撮る、をわたしは知った。」という広告のキャッチコピーは結構良い線行ってるなあと思いましたが。
やはり1型センサーは低感度で使いたい
一方でNikon 1 J5の標準ズーム10-30VR(27mm〜81mm相当)は開放F値がf/3.5-5.6と暗め。
ボケを活かした絵作りはしにくいですし、室内撮影ではISO感度を高めにしないとシャッター速度が稼げないのも不利。
明るい単焦点を併用すれば良いのですが、荷物が増えますし、レンズ交換の煩雑さもある。
RX100M5のf/1.8-2.8ズームだと全体に約2段明るいので、ISO感度が比較的抑えられるところが有利ではあります。
コンデジの中では1型センサーは大型センサー扱いですが、一眼カメラのフルサイズセンサーやAPS-Cセンサーに比べるとかなり小さく、その分ISO感度が上がった時にはノイズが出やすい。
なのでISO感度は上げずに済むならそれに越したことはない、ということで。
ズームレンジについては、望遠が70mm相当までしかないので少し物足りない感じは否めない。。
まあこのサイズでf/1.8-2.8の明るさを維持するには仕方ないんでしょうけど。
(画像補完型デジタルズームはRAW撮りだと使えないようですし)
120mm相当くらいまで望遠があって、ズームレンジ中間域の開放F値がもう少し明るくて、しかももっと被写体に寄れると最高だったのですが。(贅沢言い過ぎか?)
ソニーのRAWデータにはレンズの収差や歪み補正データが入っている
ところでRAW現像の話。
RX100M5のRAWデータをAdobe Lightroomで読み込むとレンズプロファイルを適用できない…と思ったらどうも最初からレンズプロファイルが適用されている様子。
なんでかなと思ったら
「この RAW ファイルには、ゆがみと色収差の修正用の内蔵されたレンズプロファイルが含まれています。プロファイルは既にこの画像に自動で適用されています。」
とのこと。
SONYのRAWデータって、レンズの収差や歪み補正データまで入っているんですねー。
知りませんでした。
なのでLightroomで色収差の補正のチェックボックスにチェックを入れると、逆に収差が発生しちゃいます。ご用心。
そもそもこのカメラでRAW現像する人がどのくらいいるかも疑問ですが、やはりホワイトバランスや露出補正をもうちょっと調整したい、という写真はどうしても一定数ありますので、一応RAWデータでも記録しておくと安心かと思います。(メモリーカードの容量に余裕があれば、ですが)
というわけで撮影例です。
まずはJPEG撮って出し。リサイズのみ。焦点距離17.49mm(48mm相当) f/2.8。
絞り開放で中央の花にピント合わせて撮影。1型センサーでもこれくらいは背景がボケます。
こちらもJPEG撮って出しのリサイズのみ。焦点距離8.8mm(24mm相当) f/4.0。
広角端で絞り開放だとさすがに周辺画質は眠くなってしまいますが、f/4まで絞れば画質的に十分かと。
お次は空を飛んで来るヘリコプター。
空の明るさに引っ張られて若干アンダーになったのでRAWデータを補正して書き出しました。
焦点距離25.7mm(70mm相当) f/5.6 RAW露出補正+0.9/ホワイトバランス調整済。
止まっている被写体なら撮影プレビューを見て露出補正をしてもう一度撮影、ということもできますが、動き回る被写体の場合はムリなことも多いかと思います。
よってとりあえずRAWで撮っておいて後で調整したほうが確実です。
最後は杏仁豆腐。こちらもRAW現像。
焦点距離8.8mm(24mm相当) f/1.8 RAW露出補正+0.3/ホワイトバランス調整済。
室内照明の光と窓からの外光が混ざってカメラのオートホワイトバランス泣かせなシチュエーション。
しかも暗い背景に引っ張られて杏仁豆腐が露出オーバーになりやすいのでとりあえず露出補正-1EVで撮影しておいて後から+0.3補正。杏仁豆腐の白って結構シビアだと思います。
青白くても、黄ばんでいても美味しそうじゃないので。
スマホのようなUSB充電。しかし強度的に不安?(個人的に)
バッテリーへの充電はカメラ本体にUSBケーブルで充電可能。スマホみたいです。
だからなのかどうかわかりませんがこのカメラ、充電器は付属していません。
ただ個人的にはこのUSBの蓋、少々怖いんですよね。強度的に。
USBケーブルで充電するにはまずは蓋を少し開けて、少し外にずらしてから大きく開くことになるのですが、外にずらしても蓋は完全にフリーにならず、樹脂製の蓋の根元の薄い部分を押し曲げるように開く形になるので、何度も開け閉めしているといつか根元部分が曲げ伸ばしの繰り返しに耐えられなくなってちぎれたりしないんだろうか?と不安に思ってます。(実際にちぎれたわけではありませんが。)
以前Nikon 1 V1で外付けマイクを付けっぱなしにしていたら、マイク端子カバーがちぎれていた、ということがあったので、あながち的外れな不安ではないのでは?とも思うのです。
予備電池と充電器は社外品を使用中
予備電池や充電器も別売されているのですが、純正予備電池は1個6,000円ほど。
純正充電器は他のソニー製ミラーレス一眼と共用のようで結構大きいとの評判。
で、互換品の電池と充電器セットを購入して使用しています。
1,600円程度で予備電池が2個付いて、2個同時に充電できるので安くて便利。
(価格はこの記事を書いている時点でのものです)
ネットの口コミ情報では「純正電池より持ちが悪い」とか、「充電が終わっても緑ランプが点灯しない」等の不具合が報告されていますが、私の入手したものについては今の所、そういう問題は見つかっていない状態です。
なので個人的経験の範囲内で言えば、予備電池と充電器は社外品の方がおトクかもしれません。
ただしメーカーサポート外になりそうなので、使用するかどうかの判断は自己責任でお願いします。
動作が特に速いか?といえば正直微妙
RX100はM5になってさらに動作が速くなったとの評判ですが、Nikon 1 シリーズの速さに慣れた感覚では失礼ながら「特に速い」という印象はないです。
気になるのは撮影後すぐに電源ボタンを押して電源OFFにしようとしてもすぐには反応しない時があること。そして2〜3秒後くらいに思い出したかのようにレンズが収納される。おそらく内部で何らかの処理をやっているんでしょうけど、どうも正直微妙。
世間的な評価はNikon 1 よりRX100の方がかなり高いように思うのですが、実際に両方使ってみるとNikon 1 J5も結構健闘しているのではないかなと。
個人的にはRX100M5はとりあえず常時携帯しておき、ある程度しっかり撮影したいときはレンズ交換式のNikon 1 J5の出番、という使い分けになるかなと思ってます。