タムロンのAPS-C用新型10-24mmレンズ「B023」入手

先日タムロンのAPS-C用超広角ズームレンズ「10-24mm F/3.5-4.5 Di II VC HLD(Model B023)」を入手しましたのでレビューしてみたいと思います。
やはり手ブレ補正無しはツライ
昨年(2016年)秋に、ニコンのDX(APS-C)フラッグシップ機のD500を購入しましたが、やはり超広角ズームは必要だということでニコン純正の超広角ズームレンズ「AF-S DX NIKKOR 10-24mm f/3.5-4.5G ED」も購入。この時点ではあまり選択肢は多くなかったのですが、ひとまず「つなぎ」としてニコン純正10-24を選択しました。
正直「つなぎ」ということで特に期待もしていなかったこともあり、写りは特に大きな不満はなかったのですが、やはり手ブレ補正がないのがツライ。
比較的高感度に強いと言われるD500ですが、それでもISO1600を超えるとノイズは目立ち始めるので、なるべく高感度を使わずに手持ち撮影がしたい。
となるとやっぱり手ブレ補正が欲しいなと。
早くニコンからVR(手ブレ補正)付きの10-24が出ないかなと思っていたところ、今年(2017年)の2月にタムロンから新型10-24レンズ(Model B023)が発表されました。
手ブレ補正も付いて光学系も一新したとのこと。
外装も「ルミナスゴールド」のリングが付いた高級感あるタイプ。
しかも純正レンズに比べるとかなりお安い。
個人的にはなるべくメーカー純正レンズが安心だと思っているのですが、スペック的には望み通りのレンズが登場した、ということでかなり気になっていたのですが。。。
先日某カメラ店の店頭に展示されている現物を見たところ、想像以上の造りの良さにやられてしまい、今回購入と相成りました。
差額8,000円で手ブレ補正付きにグレードアップ!?
で、ニコン純正10-24は早々に売却。
傷を付けないように注意して使っていたこともあってか、4.8万円程度で売れました。
そしてネット通販でタムロン10-24を約5.6万円で購入。
差額は約8,000円。
自分的には「手ブレ補正付きにグレードアップするための料金としては良いのでは?」ということにしております。もしかしたらニコンからもAPS-C用手ブレ補正付き超広角ズームレンズが遠からず発売されるかもしれませんが、その時はまた考える、ということで。
タムロン新世代のデザインの「B023」
と、いうわけで今回入手したタムロン新型超広角ズームレンズ「B023」ですが、やはり目を引くのはその外観の造りの良さ。35mmや45mmの単焦点レンズから始まった新世代のデザイン導入により、それまでのタムロン製品のイメージを覆すグレード感を醸し出しています。
少々失礼ながら、これまでのタムロン製品ってデザインや表面仕上げなどがチープ感丸出しで「見た目で損してるなー」と思っていましたが、経営的に「安さ勝負では未来はない」と決断したのでは?と勝手に思ってます。いや、これなら多少高くても売れますよきっと。
個人的には高倍率ズームレンズの16-300もこのデザインで発売して欲しいなと思っております。
まずは外観を眺めまわす
【ブランドリング】
先述した「ルミナスゴールド」のブランドリング。蛍光灯の下で見るとほぼ銀色ですが、直射日光の下で見るとシャンパンゴールドにも見える微妙な色です。これまでのような軽薄なキンキラキンの帯ではなく、マウント付近の奥まったところで鈍く光る銀色のリングは大人っぽくて好印象です。
【鏡胴】
ツヤ消し塗装(若干半ツヤ気味)の鏡胴はさらりとした手触り。柔らかなカーブは「ヒューマンタッチ」の思想を表現したものだとか。すっきりと洗練されたデザインなので、このレンズを購入前は無骨な造形のD500には似合わないかなとも思っていましたが、そんなに悪くないと思ってます。
【書体】
この書体。デザイナーのこだわりが滲み出てます。
細く、シャープで洗練されていながら、温かみも感じさせる書体で全体が統一されています。
個人的には、タムロンのVCロゴやピエゾドライブのロゴはお世辞にも洗練されているとは言い難いデザインで、チープな印象を助長している印象でした。
が、そういうものを全廃して統一した書体ですっきりまとめてくれたので大いにグレード感が高まりました。
いや、書体は大事ですよホントに。
ただし、外装にペイントされたこの書体、耐久性については少々不安もあります。
タムロンの新SP35mm単焦点レンズのクチコミ情報など見ていると「文字が欠けた」という話もあるので、とりあえず大事に取り扱いたいと思います(Nikon 1 用レンズの文字もこんな感じなので大丈夫なんじゃないかと思ってますが)。
あと、文字は少しグレーがかった色にするとさらに渋くカッコ良くなったのではないかと思います。
【スイッチ類】
スイッチ類周辺の造形も洗練されているのですが、プラの合わせ目が見えるのがちょっと惜しい。コスト的に仕方なかったのかもしれませんけど。
スイッチ自体は指の掛かりも良くて操作しやすいのですが、カメラバッグの中でスイッチが切り替わったりしないか不安。今の所そういうことは起こっていないのですが。
見た目の印象ほどスイッチのレバーは飛び出してはおらず、ちょっと固めの操作感なので大丈夫なのかもしれません。
カメラを構えるとちょうど左手親指が来る位置にスイッチが配置されており、スイッチ周囲は一段高くなっているので、ファインダー覗きながら手探りで操作するのはラクではあります。
ファインダー覗きながら手ブレ補正のON/OFF操作をするかどうかは微妙ですが。
【フォーカスリングとズームリング】
シンプルな縦グルービングの入ったリング類。ガタツキなどもなく、精密機器っぽい造り。
フォーカスリングは適度なトルク感もありそこそこ滑らか。遊びもあまりありません。
ズームリングの動きは若干プラの擦れる感触が感じられますが、
このクラスのレンズとしては滑らかな方と言って良いのではないかと思います。
ニコン純正の10-24はこの辺の造りや操作感があまり良くなかったんですよね。。。
【前玉とその周辺】
前玉の周囲に刻まれた同心円状のグルービング。でも若干乱れが見られるのが惜しい(上の写真では左上の方とか)。フィルタ径はニコン10-24と同じ77mm。
【レンズフード】
Made in Philippinesのレンズフード外側はつや消し仕上げ。(レンズ本体は中国製)カメラ側の斜めの面にわずかに丸みを持たせてあって、何だか随分高級感があります。
一方フード内側はなぜか外側よりつやあり。多分プラの地肌そのまま。ニコンのレンズフードは内側がつや消し仕上げだったので少々違和感あり。一応反射防止のグルービングが入っているので、実質的な問題はないのでしょう。多分。
【レンズキャップ】
レンズキャップも本体と統一感のある洗練されたデザインですが、使い勝手はいまいち。
レンズに蓋するとき、つまみの外側を持って操作する分には問題ないのですが、TAMRONロゴ上下をつまむように操作するとレンズキャップ本体に指が当たって最後の一絞りがしにくいのです。慣れの問題かもしれませんが。
あと、レンズキャップの厚みも測ってみるとニコンに比べて3mmほど分厚い。
【見た目のバランス】
D750+ニコン16-35mm f/4VR(写真右)と並べてみました。16-35はこの手のレンズとしてはかなり長く、D750がフルサイズ機としては小ぶりなので全体に細長くフロントヘビーでバランスはいまいち。手に持った時のバランスはD500+10-24(写真左)の方が良いかと思います。
ちなみにニコン16-35mm f/4VRは
最大径:82.5mm/長さ:125mm/重量:680g
タムロン10-24(B023/ニコン用)は
最大径:83.6mm/長さ:82.1mm/重量:440g
とのこと。
「TAP-in Console」でピント調整。
サードパーティー製レンズということで、やはり気になるのはAF精度。
まあメーカー純正のレンズも多少ピントがずれていることはあるので、程度問題という気もしますが。
レンズをパソコンで調整できる「TAP-in Console(タップ イン コンソール)」なるものも買ってみました。PCにつないでピントの微調整やファームウェアの更新などいろいろできるということでひとつあれば安心かなと。
左下の丸いのが「TAP-in Console」本体で、その上が付属USBケーブル。ただこのケーブル、太いし長いしで結構かさばります。。。
レンズに接続した状態が下の写真で、これをパソコンに接続して使います。使用するには専用アプリの「Tap-in Utility」をネットでダウンロードしてパソコンにインストールする必要があります。
取扱説明書には「USBケーブルは付属のケーブルをご使用ください。他のケーブルを使用すると、故障の原因になることがあります。」と書かれているのですがゴツいケーブルは嫌だなあ、ということで手持ちの細いUSBケーブルを使っております(※真似される方は自己責任でお願いします)。
「TAP-in Console」を使って設定をいじくり回してみましたが、今回のような超広角ズームレンズだと微妙なピントのずれは目立ちにくいのか、あまり調整の必要は感じませんでした。
で、結局工場出荷状態に戻して使ってます。
今後使い込んで行って、ピンずれを感じたら追々調整していこうかと。
ひとまずテスト撮影に行って参りました
このタムロン「B023」を持ってテスト撮影してきました。
画像は14bit RAW撮影してAdobe Lightroom CC(2015)でレンズプロファイルと色収差補正を入れ、キャリブレーションは「Camera Standard」を選択しています。その他の補正はなしで、ブログ用にリサイズしています。人物や車のナンバープレートなどはモザイク加工をしています。
【手ブレ補正】
手ブレ補正はメーカー公称で4段分とのこと。試しに低速シャッターで手持ち撮影しましたが、しっかり構えて1/4秒くらいまではなんとか粘れる印象。
【シャープネス】
10mm広角端で某バスターミナルで絞りを変えつつ撮影してみました(人物はモザイク処理しています)。
中央の赤い四角と右下の青い四角をそれぞれピクセル等倍で表示したのが下の画像です。
中央部は絞り開放(f/3.5)では甘め。f/5.6まで絞ると改善しますが、f/8.0ではわずかですが解像度が下がっています。普通は8〜11くらいがピークに来るんですよね。個体差なのかもしれないのですが。。。
画面周辺部は絞ってもあまり変わらない印象。それでもやはりf/5.6あたりが解像度のピークかと。
基本このレンズはF5.6で使うことになりそうです。
周辺部の描写は多少流れますが、35mm判換算15mm相当の超広角ズームレンズとしては標準的なレベルかと思います。画像周辺にも色収差が全くないのはLightroomで補正しているから。本当はこういう時は補正を外すべきかもしれないのですが、ご容赦くださいませ。
【歪みと収差】
広角端での樽型歪みはそこそこありますが、これも超広角レンズとしては普通かなと思います。
色収差はゼロではないですが、よく抑えられているのではないかと思います。
同じ画像のレンズ補正ありとなしの比較画像も作ってみました。(f/5.0で撮影)
レンズ補正なしでは左上のビルが少し曲がり、画像周辺に光量落ちが見られます。
純正レンズではないので、カメラボディによる自動での歪み補正は不可。
JPEG撮って出し派の方は気になるポイントかもしれません。
以下はその他の撮影例です。
広角側が35mm判換算15mm相当の超広角なので、かなりワイドに撮影できます。
【フォーカス動作】
合焦速度は最短撮影距離から無限遠まで1秒くらい。
先述のD750+ニコン16-35mm f/4VRと比べると微妙に遅い印象。
ニコンの標準単焦点レンズの50mm f/1.4Gよりは速いですが。
あとAF動作時は古いレンズのようなギアの「ジーコ」音がします。
普通に撮影している分には音がするのも一瞬なので特に気になりませんが、ライブビュー撮影では合焦点を探してAFが何度か往復したりするので、ジーコジーコと少々安っぽい音が少々耳障りに感じるかもしれません。
動画撮影に使う時もこのAF動作音はマイクに結構入ってしまいそうですね。
というわけでタムロンの新型10-24のレビューでした。
洗練されたデザインで、モノとしてもかなりしっかり作り込まれているのですが、
解像度のピークがF5.6付近なのはちょっと気持ち悪い気がしないでもない。
あと気になる点はAF動作音が多少安っぽいくらい。
と、多少気になる点もなくはありませんが、大きな問題はないので当分はAPS-Cの超広角レンズはこれで行く予定です。
しかしこうなると手ブレ補正補正付き単焦点のSP35mmF/1.8(F012)あたりも気になってくる。
まだまだ物欲との闘いの日々は続きそうです。。。